『Æ/æ』by Kazuto IMURA
『Æ/æ』
鏡は歴史の中で素材や技法が発展、多様化し、現在では構造自体も様々なものが存在している。
本展では鏡のもつ、様々な素材の複合性、そこで生じる現象に着目する。
古くから鏡は、平面性を支持体に反射の要素を金属に担当させ、その組み合わせによってできていた。
例えば銅鏡は錫アマルガムが、ガラス鏡は銀やアルミが コーティングしている。
(必ずしも表面を覆うわけではなく、ガラスやアクリル 等透明素材の場合は支持体の裏面にコーティングがなされる)
過去、私は塗装や 蒸着等様々なコーティングを行ない、鏡を制作した。その中で、400 回以上のアルミ蒸着により
鏡を制作しているが、そこで 1 点のみガラスとアルミの間に虹色のようなノイズが生まれた。
表面へのノイズはこれまでも多々存在したが、支持体と金属の その間にエラーができたことは初めてであった。
製品としてのエラーは、自身に改めて複合性ということを問いただすきっかけとなった。
鏡のコーティングの歴史に着目し、 異素材が構造的に共存することで生み出される現象を提示する。
タイトルの『Æ/æ』はエーテル (AEther) に由来しており、錬金術用語、 光伝達の触媒、有機化合物等、
鏡に関わる言葉であるとともに 時代とともに意味が変化してきた様子自体を鏡と重ね合わせ、命名。
また A、E の合字はあり、異なる素材が接して一つになる様子を表す。
会期 2022.10.21-11.28
会場 MA5 GALLERY by SANLORENZO JAPAN 主催 SANLORENZO JAPAN
素材 / 技術協力 UNOU JUKU by AGC 株式会社 株式会社 Makership
Photo by Kenryou Gu
井村一登
1990 年、京都市生まれ。2017 年、東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。
鏡に使われる素材や技法に触れながら人と鏡の関係性の歴史を追体験する。
光学装置や人工黒曜石、回転液体鏡等の「自分が映らない」鏡を制作する。
「NONIO ART WAVE AWARD 2021」審査員特別賞名和晃平賞受賞。
主な展覧会に、『井村一登展 mirrorrim』( 日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー、 東京 /2021)
『Sense Island - 感覚の島 - 暗闇の美術島 2021』( 猿島、神奈川 /2022)
『マツモト建築芸術祭』( まつもと市民芸術館、長野 /2022)